上海視察雑感
 初めて中国へ行く機会を得ました。私としては海を隔てて隣の国ではありますが、アメリカより遠くの国の感覚がありました。そこへ、行きが2時間15分、帰りが1時間55分のフライトで着いてしまいます。当に隣の大国です。
 昔から私は中国に興味があり、「三国志」や「水滸伝」等のファンであるだけでなく、二十歳前後はアグネスチャンの熱狂的ファンであっただけに、中国を好意的に理解していました。もちろん大学の第2外国語は中国語でした。それから、20年以上の時を経てしまっていますので、中国語は全く話せませんが、今回の旅にあわせてNHKのラジオ講座のCDは購入しました。結局聞かなかったのですが・・・・。
 感想は、ともかく、本当に「驚き・・・・ビックリ!」でした。ビジネス誌も中国関連の本も書店で花盛りでしたから、行かないと人に話しができないと思い、「金猿10周年企業視察ツア−」に躊躇せずに便乗させてもらったのです。「行ってよかった!!」「価値観・世界観が変わった!」と言うほどの感激を受けました。 
 まず、何に驚いたかと言うと、想像していたよりもはるかに大都会であることです。高層ビル群は東京都の2倍。ビルの最上階を間接照明等でライトアップすることが、中国建築家の感覚のようです。当に「雨後のたけのこ状態」と言えます。
 高速道路はLAについで長いとか。地震を想定していないので、鉛筆のように細い橋脚で、50mくらい上空につくってあり、大型の車が何台も走っています。鉄腕アトムに出てきた未来社会に近いものがありました。市街地に下りるル−プはかなりの落差があり、“きんと雲”で空から舞い降りる感覚さえ持ちました。
 人口も東京よりはるかに多く、1700万人とも2000万人とも言われています。住民票登録されている人数が、1200万人から1300万人というのですから、訳のわからない、あちこちから流れてきている人々が、500万人以上存在していることになります。この人たちは、仮に明日、揚子江に浮いていても、ゴミ扱いにされてしまうのだろうか。恐ろしい話です。
 そして、経済が急成長したため、街の中はネオ(未来)とレトロ(過去)が混在していました。3日間のうち、企業視察以外の多くの時間を、豫縁というレトロの代表のような、古い町並みで過ごすことができました。その一角だけが昔ながらの中国があって、その周辺は高層ビル、高層マンションが建っています。どんどん建設中で、豫縁の街の全体写真を撮ろうとすると、必ずレトロとネオが混在したレイアウトになります。


 通訳さんがのバスの中で話してくれた、今の中国をあらわす小話が面白かった。大変気に入ったので、アレンジして記録したい。「アメリカ人とロシア人と中国人がタクシーに同乗した。車がT字路に差しかかるので、運転手が「お客さんどちらへ行きますか。」と尋ねると、まずアメリカ人が「もちろん右へいってくれ」と言った。次にロシア人が「私もそれでいい」と小さな声でいうと、中国人が「ウインカーを左に出して、右へ行ってくれ」といったという。」 右は資本主義経済、左は共産主義。いまの中国を、ある意味適切に表現している話である。
 中国らしい面白い話としては、こんなのもあった。十六銀行上海出張所の山内所長に、上海の事情をレクチャ−していただきました。その中で、リニア新幹線の話がありました。
 空港から上海市内まで数分で結ぶ時速500キロのリニア新幹線が、2008年の北京オリンピックに間に合うように完成します。何せ、共産党政権下ですから、ここに線路を通すと決めれば日本のような借地権の問題や、土地収用のややこしい問題は発生しません。だから、計画から完成までは日本のように時間を要しないらしいです。ただ、「3回事故が起こってからでないと私は乗りたくないですね。」と。中国の工事の危うさというか、いわゆるかつての「メイドイン中国」はまだ健在なりというものを感じです。 
 マーケットとして中国を考えると、何せ13億人の人口ですから、1割が富裕層であるとしても1億人以上のマーケットがあることになります。上海の平均月額賃金が1万2千円位だそうですが、一方で月額賃金の高い人々もかなり多いようです。例えば、日本で150万円くらいのホンダアコードが、シロネギの報復措置で課税される関税で、450万円位になっているにもかかわらず、結構売れていくという現実があります。
 たまたま、ホテルでつけたTVでは、勧善懲悪の刑事ものらしき番組をやっていました。正義の味方は新型の白のホンダアコード、悪者たちは大衆車というか、軍用車を白っぽく塗装したようなぼろ車であった。そのカーチェイスはお決まりどおり悪人側の車が事故を起こして転倒・破壊されたのです。要するにホンダ車は中国の人々にとっては、ヒ−ロ−が乗る憧れの車になっているようです。このように、車という一側面から考えても、そういった車を買うことのできる層が存在し、買いたくなるように消費意欲をかき立てるチャンスがたくさんあると言うことだと思われます。大きなマーケットがそこにあることは間違いありません。
 ついでに、中国人のうち10人のうち一人が美人であるとすれば、1億人の美人がいる可能性もあります。こう考えるとこれまた、すごい話であります。やはり、中国は見逃せません。今回の視察中に、私たちの仲間の中には、せっかくかわいい中国娘が真剣にお付き合いを望んでいたのに、冷たくしてしまって惜しいことをした人もいましたが・・・・。
 帰国後、何度かあちこちでお話をさせていただく機会を得ましたが、中国の現状とかの話はどの経営者も大変興味深いようで、真剣なまざしになります。そこで、4月に再び上海にいく予定をしていますが、それまでに中国経済と日本に及ぼす影響その可能性を研究しておきたいと思っております。
平成14年10月13日〜15日 「金猿クラブ10周年企業視察会」より


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