ちょっと特別な体験報告です。
「自分のできる範囲ことを愚直に続けていると、いつか良い答えが得られる。」
この度、私は、信じられないような体験をさせていただきました。
一生の思い出に残るできごとでした。
4月23日、内閣官房IT戦略会議専門委員会で、日本のIT政策について意見説明をしてまいりました。この詳細については、いま、下記の首相官邸ホームページにUPされています。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kongo/digital/dai6/6gijisidai.html
「第6回 IT戦略の今後の在り方に関する専門調査会 議事次第(H21.4.23)」
参考資料も含めて全部、資料を掲載していただいています。
この世界的な経済危機の中にあって、日本は今後も自動車産業だけに頼るのではなく、ITを中心とした知的財産を世界一の水準にすることで、世界のリーダーシップをとっていくことが求められています。そのなかで、政府が目標とする世界1のIT立国にすべく、数年前から電子政府構想を推進しているのですが、いっこうに国民の利活用率が上がらず、世界から大きく遅れている現状にあります。この現実を打開すべく、現場の意見を聞くことになったのだと推測しています。
国家戦略に関する委員会ですからIT戦略会議座長は麻生総理です。しかし、当日は流石に参加してくださらなかったですが、その分、通常はお目にかかれない内閣官房参事官の方々や、ITの世界では超有名な学者先生方に、私論を思いっきりぶつけることができ、日ごろの思いが天まで届いた感覚になりました。学者・内閣官房が30名、報道等のギャラリーが120名くらい参加してくださいました。
ここに至る経緯は、長年、内閣官房や総務省に長文の熱いパブリックコメントを出してたら、この度、委員会の目に留まったようです。まさに召集令状で、日時・場所を前打ち合わせも無く指定され、予定していた税務調査も延期することになりました。最も重要な会議ですから、誰しもが優先するのは当然ですが。
平成16年2月2日に日本で始めて電子申告をe−Taxソフトで送信してから、ずっと、電子申告を中心にボランティア活動をしてまいりました。同時に、中小企業のIT化という面についても研究して、「電子政府構想における中小企業の位置づけ」について、思うところをパブリックコメントとして提出していました。特に、関与先の皆様には電子申告に全面的にご協力いただいておりますので、中小企業経営者に最も近い、第一線の利用者代表として、この度個人参加させていただいた形になりました。ご協力いただいた関与先の皆様にまず感謝申し上げております。また、いろいろな意見を寄せてくださる税理士仲間、診断士仲間、ITコーディネータ仲間皆さんに、心から感謝する次第です。
委員会に参加しての感想は、委員会自体がクラウド(雲の上)化しているというものでした。私の話の中身にはクラウドコンピューティング化(雲のようなインターネットに全てのシステム・データが乗っていく)と言うものに対する対応も含んでいます。しかし、なんだか見えないところで全てが決まり実行していくと言うのは、やはり雲の上の理屈です。いくらIT国家戦略内容がすばらしくても、学者先生方の理論の中での議論だけでは、国民はついていけません。現実に利活用率が低いのはここが原因です。行政の考えと、学者の理論だけでは実際に国民は動けない。
主張の要旨は、一言で表現すれば、現在のIT戦略は「画竜点睛を欠いている」ということです。「行政の書類の受入体制は95%できているのに、利用率がいっこうに上がらない。最大に努力してきた電子申告でさえ30%で、このままでは世界から遅れる。利用者の視点・中小企業経営者の視点・国民の視点で見直しをして、早期に電子政府を有効なものにしていただきたい。」と言う内容でした。ただただ、国の税金を無駄にしない、IT政策を祈念しての発言です。
客観的に見れば、私は異色で強烈な発言者であったと思います。もともとビジュアル的にもインパクトは強い方ですが。私だけが、個人参加で特定団体の代表ではありませんでした。一緒にあと3名の方の発表がありました。経団連情報委員会代表(トヨタ自動車所属)、インテルの代表(ベンダー代表の博士)、行政の代表(電子医療の実例)の方たちでした。ほかの方は事前に準備したA4の資料を追ってお話されましたが、私のみパワーポイントで身振り手振りのプレゼンテーションになりました。時間が少し長くなったのは反省です。
その後、いろいろな反応もいただいています。
http://plaza.rakuten.co.jp/akatoh90474/diary/200904260000/
今後も、私としては、IT化により少しでもいい社会になることを祈念して、一国民として、チャンスをいただける限り、多方面に意見を言い続けていきます。
興味を持っていただいた方に、心から感謝申し上げます。
井上 新 2009.5.3